近年、仮想通貨を利用できるオンラインカジノでは、資金の送受金に関する規制が強化されています。その中でも特に注目されているのが、仮想通貨の送金における「トラベルルール」です。
2022年から日本でもこの規制が施行されたことにより、日本の仮想通貨取引所では、送金の際に、以前は不要だった個人情報の提出が求められるようになりました。
このルールの影響で仮想通貨のメリットであった匿名性は完全になくなってしまったのでしょうか?
この記事では、オンラインカジノ 仮想通貨決済におけるトラベルルールの概要をまとめ、以下のポイントを詳しく解説していきます。
- トラベルルールとは?その仕組みと目的
- オンラインカジノでの仮想通貨決済に与える影響
- 規制強化後もできるだけ安全にプレイするための手段
これからも安心して仮想通貨でオンラインカジノを楽しむために、オンカジの仮想通貨のトラベルルールの最新動向をしっかりと理解し、効果的な対策を知っておきましょう!
仮想通貨のトラベルルールとは
トラベルルールとは、仮想通貨の送金時に送金者と送金先の詳細情報を仮想通貨取引所へ通知することを義務付けた新しい規制です。
日本では2022年10月1日から本格的に適用されました。日本の金融庁の発表では「暗号資産・電子決済手段の移転に係る通知義務」として明記されており、FATF(金融活動作業部会)が定めた国際基準に基づいています。
トラベルルールは、もとは資金洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金供与の防止を目的として導入されましたが、実は日本のオンラインカジノユーザーにとっても新たな問題となっています。
通知する内容
日本で現在実施されているトラベルルールでは、日本国内の仮想通貨取引所を介して別の取引所やウォレットに送金をする場合に以下の様な情報を事前に通知する必要があります。
送金者に関する情報
- 送金者の氏名
- 送金者の現住所
- 送金者のアカウント番号
- マイナンバーなどの個人を識別できるもの
- 送金目的の詳細
受取人に関する情報
- 受取人の氏名
- 受取人のアカウント番号
- 受取人の仮想通貨交換業者の有無
- 業者の場合は業者の名称
トラベルルール施行前は、国内取引所からオンラインカジノへ入金する方法がよく使われていました。しかし、現在では日本の取引所から、オンラインカジノへの入金時に上記のような情報の通知が必要となります。
トラベルルールの対象
トラベルルールの対象となるケースは、「通知対象国に本社を置く取引所」となります。これらの取引所宛に資金を送金する場合には、送金するための情報通知が必要です。具体的な対象国のリストは以下です。
トラベルルールの対象国【通知対象国】
日本の金融庁の公式ホームページによると、2025年2月現在のトラベルルールにおける通知対象国は以下の28カ国となります。
アメリカ合衆国、 アルバニア、 イスラエル、 カナダ、 ケイマン諸島、 ジブラルタル、 シンガポール、 スイス、 セルビア、 ⼤韓⺠国、 ドイツ、 バハマ、 バミューダ諸島、 フィリピン、 ベネズエラ、 香港、 マレーシア、 モーリシャス、 リヒテンシュタイン、 ルクセンブルク、アラブ⾸⻑国連邦、 インド、 インドネシア、 英国、 エストニア、 ナイジェリア、 バーレーン、 ポルトガル |
トラベルルールが施行されたことにより、上記の通知対象国に本社を置く取引所には、送金時に必要情報の通知が必要となります。
トラベルルール改正の影響
2022年10月より施行されたトラベルルールですが、2023年6月には、新たにトラベルルールの改正がおこなわれました。
改正後のトラベルルールでは、FATF(金融活動作業部会)の国際基準に基づき、新たなルールが追加されました。主な変更には「通知対象国」と「通知システム(プロトコル)」によって、送金が許可されるかどうかが判断される仕組みが追加されています。
このトラベルルール改正に伴い、各国の通知システムの違いによって送金ができないケースが発生します。日本国内外を問わず、仮想通貨の取引に以下のような影響が及ぶ可能性があります。
- 一部の国との間で仮想通貨の送受金が制限される
- 通知事項の確認に時間がかかるため、入出金の処理が遅れることがある
- 通知内容によっては、送金・受取自体ができない場合がある
このように、日本の仮想通貨取引ではさらに厳しい制限やルールが適用されています。そのため、トラベルルール改正後の規制の強化により、オンラインカジノの入出金目的で海外送金を行う場合、取引自体を拒否される可能性も懸念されています。
トラベルルールの通知システム
改正後は通知対象国リストに加えて、「通知システム(プロトコル)」による取引のリスクも高まります。
トラベルルールの改正により、単に「通知対象国以外の送金なら可能」ということではなくなっていることにも注意が必要です。
具体的には、通知対象国であっても対象国以外であっても、通知するシステムの種類の違い(TRUSTまたはSYGNA)で、通知することができず入出金が拒否される可能性も出てきます。
そのため、プロトコルの詳細が分からない(公表していない)通知対象国以外の送金も「TRUSTではない」「SYGNAではない」という理由から不可とされる可能性もあります。
トラベルルールがオンラインカジノユーザーにもたらす影響
日本国内でのトラベルルールの実施により、具体的に日本のオンラインカジノプレイヤーの仮想通貨入出金にはどのような影響が及ぶのでしょうか?
トラベルルールにおけるオンラインカジノの仮想通貨決済では特に、以下のような点に注意が必要です。
送受金できない
トラベルルールがオンラインカジノの仮想通貨決済にもたらす第一の影響として、これまで利用していた国内取引所での送受金ができなくなることが挙げられます。
これまで国内取引所からオンラインカジノの送金アドレス宛に取引を行っていた場合、トラベルルール改正後の措置による送金拒否やトラブルが起こる可能性があります。
これは各取引所によっても異なり、ケースバイケースであるために一概に言えませんが、最悪場合は送金しても資金が戻らずゴックス(資金の紛失)が起こることになります。
また、運よく送金できたとしても、受取人の情報を取引所に正しく申告する義務があるため、昨今の日本国内におけるオンラインカジノの取り締まりの背景からするとかなりリスクが高い行為となります。
取引所で口座凍結される
現状は、国内の取引所によっては「オンカジに送金できるところもある」という状況ですが、場合によってはトラベルルール改正後の規則や規約の変更によって、送金済みの資金が反映されず、そのままアカウントが凍結となり資金を引き出せなくなる可能性もゼロではありません。
すでに日本国内の取引所ではトラベルルールへの対応が進んでいます。オンラインカジノ関連の取引自体を禁止している取引所も出てきていることから、今後オンカジの入出金における規制が国内取引所全体でさらに厳しくなっていく可能性があります。
現に、日本の取引所で特に有名なコインチェックやGMOコインでは、トラベルルール施行によってオンラインカジノへの送金に厳しい措置を講じています。

同社では、利用者の取引履歴に海外のオンラインカジノの送受金が確認された場合、口座の取引を停止すると言及しています。
口座自体が凍結されてしまうと、オンラインカジノ決済やそのほかの取引に使える新たな取引所で口座を開設させなくてはいけません。さらに、凍結された口座に資金が残っている場合、アクセスできなくなってしまいます。
仮想通貨を安全にオンラインカジノに送る方法
上記のようなトラベルルールの影響によるリスクから、最近では、多くのユーザーが日本の取引所を経由しない別の方法でオンラインカジノの入出金をおこなうことを検討しています。具体的な対策として推奨されている方法は以下の通りです。
海外取引所を使う
1つ目は、日本の取引所を介さず取引ができる海外の取引所の利用です。
日本の取引所のリスクが高いため、規制自体が日本と比べて厳しくない海外の仮想通貨取引所へ完全に移行しはじめているオンカジユーザーも増えています。
メリット
- 日本の取引所を介さず利用できる
- 口座の開設もシンプルな手順でできる
デメリット
- 必要情報の取得やサポートに日本語を使えない可能性が高い
- 運営国やプロトコルの種類によっては送金できない
- 通知システムの違いにより送金が拒否された場合ゴックスのリスクがある
プライベートウォレットを使う
2つ目はオンカジでプライベートウォレットを使う方法です。プライベートウォレットは、仮想通貨を個人が管理できる仕組みを持っており、仮想通貨取引所に依存せずに自分自身で資金の保管や管理ができます。
代表的なウォレットとして、Trust Wallet(トラストウォレット) やMetaMask(メタマスク)はオンカジのプレイヤーにも利用されています。
オンカジでプライベートウォレットを利用すれば、国内取引所から直接カジノに送金するリスクを回避しながら仮想通貨を入出金することが可能です。
メリット
- 取引所間の直接送金を避けて匿名性の高い取引ができる
- 取引所の口座凍結によるリスクがない
- 様々な銘柄を管理できる
デメリット
- 取引をすべて正確に自分で完結する必要がある
- 紛失や盗難のリスクがある
(一部仮想通貨カジノのみ)オンラインカジノ内で購入する
3つ目は、仮想通貨購入がカジノ内でできるプラットフォームを利用する方法です。
一部の仮想通貨カジノでは、カジノ内で直接仮想通貨を購入できるサービスを提供しているため、取引所を経由せずに仮想通貨を購入することができます。
この方法では、クレジットカードや銀行振込を利用して、カジノ内で対応している仮想通貨を購入し、そのまま賭け金として使うことができます。
メリット
- 直接購入できそのままカジノに使える
- オンカジ入金だけに仮想通貨を利用したい場合に便利
- カジノブランド限定のオリジナルトークンが使える場合もある
デメリット
- 対応しているカジノが限られる
- オンラインカジノブランドの選択肢がかなり減る
- 購入方法や出金方法によってはカジノとの取引履歴が残る
まとめ
いかがでしたか?
今回は、日本の仮想通貨カジノプレイヤーにも関わるトラベルルールについて解説しました。海外のライセンスを取得し、合法的に運営しているオンラインカジノであってもトラベルルールは適用されるので、仮想通貨決済を使っているプレイヤーにとってかなり大きな変更であることには間違いありません。
この記事で説明した内容からも分かる通り、オンラインカジノを取り巻く状況や規制は年々変化しています。
仮想通貨の入出金に関する規制も強化され、以前よりも取引の自由度が制限されるケースが増えています。トラベルルール施行前には、匿名性が高く安全と評価されていた仮想通貨決済に関しても、利用方法によっては今後は細心の注意が必要となっていくでしょう。
そのため、仮想通貨の入出金における取引所のルールや規制に関しては、最新情報に留意しておきましょう。
また、日本の取引所を介さない他のどの方法を利用する場合であっても、プレイヤー各自の責任のもと、送金や取引の管理をする必要があります。
よくある質問
- Qオンラインカジノのトラベルルールとは?
- A
2022年から施行された仮想通貨取引におけるトラベルルールでは、送金時に送金人と受取人の個人情報を含む詳細の通知を義務としています。
義務化されている通知情報には、氏名や住所、送金人のアカウント番号、送金人のマイナンバーといった個人を識別できる情報、送付目的、受取人のアカウント番号や業者名などが挙げられます。
このルールにより、オンラインカジノのプレイヤーは日本の仮想通貨取引所を利用した「匿名」でのオンラインカジノへの入出金ができなくなりました。
- Qトラベルルール改正後もオンカジで仮想通貨は使えますか?
- A
現段階では、以下の方法が安全かつ有効とされています。
- 海外取引所を利用し日本の取引所を避ける
- 取引にアンホステッドウォレットを使う
- 直接仮想通貨を購入できるカジノを選ぶ
しかし、どの送金方法を選ぶ場合にも自身の責任のもと判断し利用するようにしましょう。